腰痛は最も訴えの多い病気と言っても過言ではありません。 長い年月の間に、骨や椎間板が変形・変性し神経を圧迫する様になると様々な症状を呈します。一時的な症状であれば良いのですが、これが永続的な症状になると日常生活にも制限が生じます。我慢できるうちは良いですが、徐々に慢性疼痛へと移行し鎮痛剤だけでは効果が得られなくなると仕事に支障が出るだけではなく、生活にも支障が出てくることがあります。
当科では、そのような耐え難くなった腰下肢痛に対して外科的治療を考慮しています。 例えば、整形外科的に根治療法が困難となった変形性腰椎症や、パーキンソン病などの変性疾患に伴う変形性腰椎症は根治術を行っても再発が多いことから手術が困難であるため大変悩まれている方が多いと思われます。その様な方々も除痛は困難でも痛みの緩和が得られれば、それまで考えられなかったことが可能になる・・・その様な期待ができるようなお手伝いができればと考えています。
脳神経外科では、このような方々に脊髄刺激療法をお勧めしています。 基本的に万人に効果があるわけではありませんので、その痛みに対して外科的治療による根治が可能そうであれば整形外科に紹介する様に致します。また、当科で行った治療でも満足が得られない際には麻酔科(ペインクリニック)とも相談して緩和が得られるよう努力したいと考えています。
実際の手術手技について
脊髄刺激療法は、脊髄の硬膜外腔(脊髄を包んでいる膜の外)に細い電極を通して、そこに微弱な電気を流して疼痛を和らげる治療です。
術者は約20年前(2022年現在)より、同手技を導入し様々な方々(頚椎・腰椎術後疼痛、変形性腰痛症、パーキンソン病に伴う腰下肢痛、CRPS、後頭神経痛、閉塞性動脈硬化症による下肢痛など)の疼痛緩和に携ってきました。それらの経験を生かし、それぞれの痛みに対応したいと考えています。
実際の治療(脊髄刺激療法)の流れですが、通常は、うつ伏せになって局所麻酔を行い、細い電極を脊髄の表面に挿入します。その後、数日間刺激を行い効果が得られるようであれば、刺激装置の埋め込みを行います。効果が無い際には、電極は抜いてしまいます。
図1のように、お腹またはお尻に刺激装置を植え込みます。
その後は、図2の様なタブレットや操作端末を使用して刺激装置と通信して設定を変更したり調整することが可能です。
入院は刺激効果を試すのみであれば1週間、それから刺激装置を挿入する場合にはプラス数日お時間をいただきます(短ければ数日、長くても2週間です)。 後は、外来で効果を伺いながら調整していきます。 治療の前に長めに時間を取ってなるべく不安の無いようにお話いたします。
辛い腰痛など、気になることがあればお気軽に脳神経外科 青木司 外来、若しくは予約が取れないようでしたら脳神経外科外来に受診またはご連絡ください。